不妊の「語られ方」が変わってきています。以前は、マスメディアで取り上げられるのは新しい治療法などが中心で、当事者の声も「こうして私は妊娠した」などの成功体験がほとんどでした。 それが、個人のSNSなどでの発言を通じ、 […]
患者さんからよく、「子どもを授からない限り、不妊の苦しみは消えない」と言われます。もしそうならば、不妊の方は一生、喪失感や空虚感にさいなまれながら生きていかなければならないのでしょうか。 子どもを望んでいた人にとって […]
不妊を経験しない人が不思議に思うことの一つに、それほど不妊治療がつらいのなら、どうしてやめないのだろうということがあるでしょう。頑張っても授からないならば、あきらめて子どものいない生活を送ることも、養子を迎えることもで […]
生殖技術の発達は、不妊のご夫婦はもちろん、単身者や同性カップルにも、第三者からの精子や卵子の提供を受けたり、代理母を利用したりすることで、家族を増やすことを可能としました。 米国では、体外受精の約1割が、提供された卵 […]
妊娠を望む女性にとって、生理が来てしまうことは、妊娠できなかった事実を突きつけられる、期待から絶望の底に突き落とされる体験です。そんな時、隣をふと見回して、テレビを見ながら笑っている夫がいると、「この人には私のつらさな […]
不妊治療でお子さんを授かったある女性は、出産後に近所の人にこう言われ、がくぜんとしたそうです。「かわいいお子さんねえ。で、2人目はまだなの?」彼女はこれまで、さんざん「子どもはまだ?攻撃」に苦しめられてきました。大変な […]
仏教用語に、愛する人と別れるつらさを意味する「愛別離苦(あいべつりく)」という言葉があります。愛する人との別れは最もつらい経験の一つで、生きている限り誰しも避けて通ることができないものです。愛する人を失う体験をした人は […]
「それで、本当はどうなるはずだったの?」不妊の方とのカウンセリングで私が大切にしている問いかけです。 「結婚してしばらくは2人の生活を楽しんでから、最初は女の子で全部で3人ほしかった」「すぐに出産して忙しく子育てをし […]
「あなた、今日、排卵日だから早く帰ってきてね」「うん、わかった」そんな夫婦の会話が繰り返される不妊治療があります。医師が、基礎体温や卵巣の状態から排卵日を予想し、性交日を指導するタイミング法です。医療にかかる前に、基礎 […]
カウンセリングを受ける不妊患者さんはみな、その人なりの深刻な悩みを抱えて訪れますが、何の問題も見受けられないように語り出すこともあります。「私は恵まれています。夫も義母も友達も優しくて」ある女性は、そこでいったん言葉に […]